織田NOBU株式会社
最終更新日 2023/10/08

本多正信の性格や、面白い逸話(エピソード)は?

典型的な文治派の人物であり、徳川四天王などの武断派や、他の政治派閥と対立・衝突を繰り返す。黒い事件や逸話が豊富にあり、生々しいエピソードが面白い。
サムネ

こんな人! (人物像)

家康の腹心として、主君から厚い信頼を得ていた人物。数々の謀略を駆使し、徳川家の天下取りに尽力する。典型的な文治派の人物であり、徳川四天王などの武断派や他の政治派閥と対立・衝突を繰り返す。初期の幕政を牛耳っていた人物で、本多正信の周りには黒い事件や逸話が豊富にある。その辺の人物相関や対立模様を掘り下げていくと、生々しいエピソードが湧き出てきて面白い。

真っ黒であるが、主君家康の信頼は堅く、家康が死ぬまで頼りとしてきた人物である。また、物欲・出世欲に乏しかった人物とされるが、権力闘争を上手く回避するための知恵であったのかもしれない。

本多正信(1538~1616)
本多正信(1538~1616)

呼び名など

  • 本多佐渡(守)
  • 本多佐州

性格など

  • 権力の中枢にありながら、物欲・出世欲に乏しかった人物。主君家康からの加増提案も辞退し、石高は2万2000石程度であった。
  • 本多忠勝や榊原康政といった武断派から嫌われていた。文治派の筆頭として、武断派からの糾弾の矢面に立たされていたのではないだろうか。
  • 謀臣。家康を謀略面で助け、天下取りや初期徳川政権(幕政)における敵対勢力の排除・失脚など、数々の謀(はかりごと)を巡らす。
  • 言葉少なめ。日頃の正信は無口であり、政治の助言についても一言二言しか発しなかったとされる。
  • 主君家康とは互いの心が通じ合っていたとされ、その理想的な主従関係から水魚の交わりとも称されていた。

おもしろエピソード

本多正信の逸話、面白エピソードを紹介!

一向門徒を率いて、主君家康と対立

家康がまだ独立して間もない1563年頃、家康の領する西三河の領内において、三河一向一揆が勃発する。この一揆は単なる民衆の反乱とは違う。家康の家臣団の半数近くが一揆側に加担するという大規模な一揆であり、家康の最初にして最大の危機ともいわれている。

本多正信ははじめ、家康の鷹匠(鷹を操る人)として仕えていたが、熱心な一向門徒でもあった正信は、一向門徒とともに一揆に加担することとなる。

西三河一帯を巻き込んだ三河一向一揆は、家康の奮闘によって鎮圧される。独立したての家康に反抗する勢力も多く加担していた一揆であったため、これにより反抗勢力が一掃され、結果的には家康の三河支配が強固なものとなる。本多正信はこれを機に徳川家から出奔している。

一向門徒のカリスマ 蓮如

家康の腹心として、権力の中枢へのし上がる

本多正信が徳川家康に再び仕えた時期については諸説あり、謎の多い人物でもある。

時代が戦場の槍働きから領内の統治や外交・政治へシフトしていくにつれ、本多正信のような「ソロバン勘定の達者な奴」が出世をしていく世の中へと変わっていく。そんな中で頭角を現し、初期の幕政を牛耳るまでになるのが本多正信である。

豊臣政権の五奉行の一人である石田三成と非常に良く似ている。

こういった出世の仕方をする人物は、戦場の槍働きによって活躍してきた武断派の嫉妬を買いやすい。本多正信も例外ではなく、本多忠勝や榊原康政などの徳川四天王や、大久保忠隣といった武断派から嫌われ、さんざんに悪口を言われるようになっていた。

表面化していく派閥対立の中、大久保忠隣や大久保長安といった対立派閥は、本多正信や息子正純の謀略によって失脚させられていく。と、これで話は終わらず、本多正信の死後、息子の正純もまた、対立派閥によって失脚させられるのであった。(宇都宮城釣り天井事件)

まさに陰謀渦巻く政権中枢。(笑)

徳川家康と本多正信(あ・うんの呼吸)
徳川家康と本多正信(あ・うんの呼吸)

意見に反対のときは居眠りをし、賛成のときは褒めまくる

阿吽(あうん)の呼吸」という言葉がある。長年連れ添った夫婦や、お互いのことを良く知った旧知の仲の者は、あ・うんの呼吸でお互いの考えや行動が読めるという。

家康と正信の主従関係も、あ・うんの呼吸であったとされる。また、信頼し合った仲から水魚の交わりとも称されている。これらの逸話(エピソード)から、お互いに無くてはならない存在であったことが窺える。

ただ、完全に意見が一致していたのではなく、時には意見が対立することもあった。そんなとき、本多正信はわざとコクリコクリと居眠りをし、聞いていないフリをしたという。(笑)

その態度を見て家康が意見を変えると、正信は大喜びをして主君を讃えた。一歩間違えれば討ち首モノの逸話だが、正信のことを信頼していた家康は、このやりとりを楽しんだという。